Research Abstract |
本研究の課題は,個体地球科学の精密観測にとっての 要求を満たすような安価な気圧計を開発することである.この目的のため,センサーの基本概念の再検討から始めた. 必要とされるセンサーは,大きくわけて2種類ある.地震学への応用を想定した高感度の相対気圧計,および測地学への応用を想定した高精度の絶対気圧計である.しかしこれらは機能的にオーバーラップしており,本来別々のものではない.そこで,差圧計と絶対圧計とを組み合わせ,気圧の絶対値も微小な時間変化も同時に測定できるようなメカニズムを工夫するという方向性を確認した. 相対圧計のセンサーとして,何種類かを比較検討した結果,ベローズ式センサーが最適であることがわかった.ベローズ式センサーは,予備的なテストの段階で,サーボ機構などを組み込まない裸の特性において,すでに非常に良い特性を示すことが確認されていた.最初の課題は,温度変化の影響が比較的大きいことと,応答の直線性が不明であることであった. これらを解決するため,まず温度変化の小さい場所に試作機を設置し,リファレンスの気圧計との並行観測を行った.その結果,温度変化の影響がなければ,そのままで市販の高価な気圧計と同等の性能を示すことがわかった.次に,直線性については,高度差のある場所に持って行って気圧変化を与え,その応答を調べた.温度変化の影響との分離が難しいが,おおむね良好な応答をしめした.ただしこれらの実験から,センサーが傾斜に非常に敏感で,マウント法に工夫が必要であることもわかった. 位置検出のための変位センサー,スローリークのための毛細管,サーボ制御のためのアクチュエータなどについても,部品の選定を進めた.
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