2008 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体基板へのプラズマ照射による量子スピン系フラーレンの創製
Project/Area Number |
20654055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金子 俊郎 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 准教授 (30312599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畠山 力三 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00108474)
加藤 俊顕 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20502082)
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Keywords | 内包フラーレン / ミラー型プラズマ源 / 磁性金属イオン / 量子スピン効果 / イオン液体 |
Research Abstract |
磁性金属を内包したフラーレン, すなわち量子スピン系フラーレンを創製することを目的として, 初年度は, 多極磁場ミラー型電子サイクロトロン共鳴放電を用いて高電子温度プラズマを生成し, (1)磁性金属として鉄を含む有機金属化合物であるフェロセンをプラズマ中に昇華導入し, 高度に解離・電離することで原子状の鉄イオンを生成する「フェロセン昇華法」と(2)高エネルギーの電子やイオンを真空容器内の鉄板へ衝突させ, スパッタによって鉄イオンを生成する「鉄スパッタ法」を用いて, 多量の鉄イオン生成と鉄内包フラーレン形成を試みた. 1. フェロセン昇華法ならびに鉄スパッタ法を用いることで鉄イオンを含有するアルゴンプラズマを生成することに成功した. 発光分光分析の結果から, 鉄スパッタ法の方がより効率的に鉄イオンプラズマを生成できることを明らかにした. 2. 生成した鉄イオンを照射したフラーレン試料を, 電子スピン共鳴分析により解析したところ, 鉄由来と考えられるピークが検出された. この結果は, 本実験において鉄とフラーレンの複合物質が形成されたことを示している. 3. このフラーレン試料についてレーザー脱離飛行時間型質量分析器で解析を行った結果, 鉄内包フラーレンダイマー[(Fe@C_<60>)_2]に対応する1552m/zの質量ピークが得られた. 以上の結果から, 鉄内包フラーレンに由来する物質の合成に初めて成功したといえる.
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