2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20655034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池田 茂 Osaka University, 太陽エネルギー化学研究センター, 准教授 (40312417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 豪 立命館大学, 理工学部, 助教 (80423086)
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Keywords | 光触媒 / ドーピング / ドナー・アクセプター / 可視光 / 水分解 / 酸素発生反応 / 結晶性 / 太陽エネルギー |
Research Abstract |
光触媒を用いた水分解反応を太陽エネルギー変換の水準まで引き上げるには、可視光を十分に利用できる光触媒反応系の開発が必須である。さまざまなアプローチによる材料の開発が広く進められてきたなかで、酸化亜鉛(ZnO)と窒化ガリウム(GaN)からなる固溶体が、適当な水素発生触媒(RuO_2あるいはRh/Cr酸化物)を担持させると、可視光で水を分解できることが最近見出された。当初、この材料は、ZnOとGaNが複合化することで、バンドギャップが小さくなっていると理解されていたが、発光分光による詳細な解析から、われわれは、この可視吸収の要因がGaN結晶中のGaにZnが置換することによって形成される(Zn濃度によってポテンシャルが変化する)アクセプター準位によるものであり、固溶体の固有吸収端(バンドギャップ)は紫外域にあることを突き止めた。また、この固溶体では、NがOが置換することによって浅いドナー準位も同時に形成されており、可視光による水分解活性の発現には、このようなアクセプターとドナーが共ドープされた電子エネルギー構造が必須であるという独自の見解に至った。本研究は、このようなアイデァに基づいて、電子エネルギー構造を制御した材料を作製し、その特性を評価することで、まったく新規な水分解光触媒材料群の開発するための基礎作りをするものである。 本年度は、Oドナー、Znアクセプターの濃度を制御する試みとして金属Gaをべースの原料としたドープ/無ドープGaN系光触媒の合成手法について検討した。その結果、本手法が結晶性の高い粉末試料を得るのに有利であること、Znアクセプターについては濃度制御が比較的幅広く可能であったこと、(犠牲材存在下)での水の酸化においては、Zn濃度に依存して活性が増大することなどが明らかになった。一方、本手法ではOドナーの濃度制御は困難であったが、Oドナーの有無で水分解活性が大きく変化し、共ドープが重要であることが確認された。
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