2008 Fiscal Year Annual Research Report
広動作温度範囲を有するFe系マルチモード超弾性合金の開発
Project/Area Number |
20656114
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安田 弘行 Osaka University, 大学院・工学研究科, 准教授 (60294021)
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Keywords | 超弾性 / 金属間化合物 / 格子欠陥 / 中性子 / 形状記憶合金 / 電子顕微鏡 / Fe / Ga |
Research Abstract |
本年度は、D0_3型Fe_3Ga単結晶を用い、同結晶特有の転位運動、双晶変形、マルテンサイト変態に由来する擬弾性挙動の調査を行った。まず、転位運動に由来する擬弾性については、2本対の1/4<111>超部分転位が逆位相境界(APB)を引きずりながら運動し、除荷にAPBがその面張力によって転位を後方に引き戻すことで擬弾性が生じた。なお、こうした応力負荷・除荷に伴う転位の往復運動は、TEMによる変形その場観察により確認された。このタイプの擬弾性はマルテンサイト変態に由来するそれと比べ動作温度範囲は-100〜100℃程度と広いが、-180℃といった低温では著しく形状回復率が低下した。一方、双晶変形は-180〜100℃の広い温度範囲にわたって発生するとともに、除荷時に消滅することで巨大な形状回復に繋がった。この双晶は{112}双晶面にて鏡面対象性が満足されない擬双晶であり、APBと同様その面張力で消滅しようとし、このことが擬弾性の発現に繋がった。したがって、Fe_3Ga合金では、転位ならびに双晶による擬弾性を組み合わせれば、-180℃〜室温で非常に高い形状回復率が維持される。特に、双晶変形のみが生じる-180℃でも、80%以上の高い形状回復率が得られた。一方、100℃以上では、APBならびに双晶の構造緩和が顕著になり、このことが形状回復率の低下に繋がると考えられる。また、この双晶の発生は、D0_3相の規則度、荷重軸方位ならびに応力センス(引張・圧縮)を制御することでコントロールすることが可能であった。
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