2008 Fiscal Year Annual Research Report
電子レベルから2次粒子構造までのマルチスケール触媒シンタリングシミュレータの開発
Project/Area Number |
20656131
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久保 百司 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授 (90241538)
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Keywords | シンタリング / マルチスケール / シミュレータ / 電子レベル / 2次粒子構造 / 細孔径分布 / 触媒寿命 / μmレベル |
Research Abstract |
触媒設計・開発において、触媒寿命の予測、触媒劣化機構の解明は最も困難な課題の一つである。実験的な触媒劣化機構の解明には、長時間を必要とする触媒劣化試験を行う必要があるため、理論的な劣化予測手法の開発が求められている。これに対し研究代表者らは量子分子動力学法、分子動力学法、キネティックモンテカルロ法から構成されるマルチスケール触媒シンタリングシミュレータの開発に既に成功している。しかし、上記のシミュレータ群は担体を平坦な2次元平面と仮定して計算する方法論であり、1次粒子、2次粒子、細孔径分布を有する現実の工業触媒を反映しているとは言い難い。そこで、本研究では世界的にも初めて触媒担体の1次粒子、2次粒子、細孔径分布を考慮した電子レベルからμmレベルまでのマルチスケール触媒シンタリングシミュレータを開発することを目的とした。 本年度は、まず1次粒子・2次粒子、細孔径分布を考慮した担体構造のモデリングプログラムの開発に成功した。さらに開発済みのモンテカルロ法に基づくシンタリングシミュレータに対して、異なった担体上を触媒微粒子が移動可能な新規アルゴリズムを導入し、1次粒子・2次粒子構造、細孔径分布を考慮したシンタリングシミュレータの開発に成功した。また、開発済みの分子動力学法に基づくシンタリングシミュレータを高速化、さらには粗視化手法の導入により、1次粒子・2次粒子構造、細孔径分布を考慮した分子動力学法に基づくシンタリングシミュレータの開発に成功した。 さらに、これらのシンタリングシミュレータを活用することで、3次元構造を有するγ-Al_2O_3担体上でのPt微粒子のシンタリングシミュレーションに成功した。特に、γ-Al_2O_3担体の形状によって、Pt微粒子のシンタリング挙動が大きく異なることが、開発シミュレータによって初めて理論的に明らかにされた。
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