Research Abstract |
前年度までの研究により,Sn表面に形成する酸化膜を除去し,有機溶媒中(1-プロパノール)など再酸化を防ぐ環境において,数ヶ月の潜伏期間が必要であったSnの同素変態は,1時間以内に短縮されることが明らかになった.今年度は,さらに,変態を遅延もしくは加速する元素の探求を行った.変態を著しく遅延する元素は,Sb,BiおよびPbであり,これら元素の濃度を低下させることが変態加速につながる.特にこれら元素の濃度が低い純度5NのSnでは変態は20分程度で開始する.またダイヤモンド構造を有する元素の添加が変態を加速することがあきらかになり,GeやSiが特に効果的である.実用の観点からは,合金化し易いGeがを添加することが効果的であると考えられる. これらの結果を基に,3216抵抗部品を高純度Sn(5N)およびSn-0.05mass%Ge合金により実装した基板を用いて実際の接合部で分離が可能であるかの確認を行ったところ,高純度SnもしくはSn-Ge合金を用いた3216抵抗接合部では比較的短時間に同素変態が開始し,部品,はんだ,基板に分離することが確認された,ただし,接合部の拘束による体積膨張抑制が同素変態を遅延させることがわかり,はんだ接合部の構造を分離しやすい形状に工夫する課題が明らかとなった.なお,Sn-Ge合金を用いた接合では,冷却開始後,24時間以内に分離が完了し,本分離手法の実用化に向けて期待が持てる結果が得られた.
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