2009 Fiscal Year Annual Research Report
琉球列島における絞め殺し植物アコウの遺伝的多様性維持機構
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20658039
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
金谷 整一 Forestry and Forest Products Research Institute, 森林遺伝研究領域, 主任研究員 (90353648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 達也 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 林業領域, 主任研究員 (80353613)
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Keywords | 琉球列島 / 絞め殺し植物 / アコウ / 遺伝的多様性 |
Research Abstract |
本課題は、琉球列島における森林生態系の保全に資するべく、亜熱帯性の森林生態系で重要な構成樹種であり特異な開花フェノロジーを有する絞め殺し植物アコウを対象にして、島嶼間の種子散布者の違いが、本種の遺伝的多様性の維持や集団間の遺伝的分化にどのように影響しているのかを検証することを目的としている。本年度は、琉球列島の北端にあたりサル等の大型の種子散布者がいる屋久島、大型の種子散布者が存在しない種子島でDNA解析用の試料として葉の採取を行った。さらに琉球列島の自生地との比較検討のため、琉球列島には属さずにアコウの分布北限域にあたる鹿児島県および宮崎県の海岸域についても採取を実施した。両県で自生が確認されている10集団において、林床における更新状況の確認と5~47個体/集団の試料の採取を行った。屋久島以外の地域では、林分内の林床に更新している状況は確認されなかった。特に九州本土では、母樹の樹冠下あるいはその周囲の林床に実生はほとんど分布せず、道路のコンクリート製の法面等の隙間にみられることが多かった。すなわち、屋久島以外の自生地では、実生の更新は林床よりは、ホストとなる他樹種の樹幹上あるいは樹冠内で行っている可能性が考えられた。 試料を採取した個体については、ジーンフロー等の解析を行えるよう、GPSを用いて位置情報を記録した。採取した葉よりDNAを抽出し、遺伝解析を実施する準備を整えた。遺伝解析のため、アコウオリジナルのマイクロサテライトマーカーを48座設計し、その約半数で増幅が確認され、遺伝的多様性の評価ならびに遺伝的分化の程度を解析する準備を整えた。
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