2008 Fiscal Year Annual Research Report
mRNAスプライシング制御におけるインスリン受容体基質の新機能解明の試み
Project/Area Number |
20658065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 伸一郎 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (00197146)
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Keywords | インスリン様成長因子 / インスリン / インスリン受容体基質(IRS) / RNA / RNA結合蛋白質 / CLIP(cross-linking and immunoprecipitation)法 / mRNA / non-coding RNA |
Research Abstract |
インスリン様成長因子(IGF)/インスリンが細胞膜上のそれぞれの受容体に結合すると、受容体チロシンキナーゼが活性化され、インスリン受容体基質(IRS)をチロシンリン酸化する。これを引き金として広範な生理作用を発現すると考えられている。これまでに我々はIRSがリン酸化チロシン残基の認識を介さずに複数のタンパク質と相互作用して複合体(IRSomeと命名)を形成することを見出した。まず、IRSにRNA結合タンパク質やmRNAのプロセシングに関与するタンパク質が結合することを確認した。IRSとRNA結合タンパク質が相互作用したことから、RNA本体がIRSomeの形成に関わっている可能性が考えられた。そこで次に、種々の細胞より調製した細胞抽出液をRNaseで処理し、IRSomeが解離するか調べた。その結果、通常分子質量1,000kDa付近に検出されるIRS-が、RNase処理により検出されなくなり、これらが400kDa付近に移行することがわかった。続いて、1RS。meにRNAが含まれることを直接的に証明するために、CLIP(cross-linking and immunoprecipitation)法によりIRSに結合しているRNAの同定を試みた。その結果、IRSが直接RNAと架橋され、様々なIRS-1あるいはIRS-2(IRSファミリーの分子種)の部分欠失変異体を用いた解析により、置RS-1と1RS-2は異なる領域でRNAと結合することがわかった。更に、1RS-RNA複合体中からRNAを抽出してIRS-1に結合したRNAの配列を調べたところ、多種類のmRNAおよびmRNAのスプライシングを行うU2 snRNAの他、数種類のnon-coding RNAの同定に成功した。これらの結果は、IRSomeがRNAを結合し、RNA代謝に重要な役割を発揮していることを示している。
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