2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20658067
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
辰巳 隆一 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 准教授 (40250493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野谷 航 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (20404056)
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Keywords | 骨格筋 / 筋幹細胞 / 衛星細胞 / 肝細胞増殖因子HGF / セマフォリン3A / 運動神経細胞 / 神経細胞忌避因子 / 筋肥大・再生 |
Research Abstract |
動物の成長や運動に伴う筋肥大・再生は、(1)筋肉の主体である筋細胞(筋線維)の肥大・修復、(2)筋線維に付着している運動神経ネットワークの再構築、(3)筋線維を取り巻く毛細血管の再配置、の3つの現象を基盤としている。(1)の筋線維の肥大・修復の分子機構は国内外の研究者の研究対象になっており多くの知見が集積されている。しかし運動神経ネットワークの再構築を支配する分子機構は全く不明であり、極めて新規性の高い研究テーマである。これを解明できれば、運動神経の再構築を促進する画期的な技術の創出が期待され、運動神経の退行疾患を抑制したり筋肥大・再生を促進できると予想される。 本研究では神経細胞忌避因子semaphorin3Aに着目し、筋肉内の発現細胞および発現誘導因子を解明することを目指している。初年度では、1)筋幹細胞(衛星細胞)および筋線維の初代培養系に肝細胞増殖因子(HGF;筋肥大・再生に不可欠な因子)を添加するとsemaphorin3Aの発現・分泌が誘導されること、2)この現象はHGF濃度依存的であり、2.5-10ng/mlの範囲で最大に誘起されること、3)IGFI,PDGF-BB,transferrin,TGFbeta-2などの他の成長因子には誘導効果はないこと、4)HGFによるsemaphorin3A発現誘導は衛星細胞の分化期に特異的であることなどを明らかにした。 これらの実験結果は、衛星細胞が合成分泌するsemaphorin3Aによって神経細胞の配向や筋線維への接着を積極的に制御しており、これにより衛星細胞が筋線維の肥大や修復だけではなく運動神経網の再構築にも関与していることを示唆している。またHGFは衛星細胞の活性化・増殖を促進する他、細胞分化期にはsemaphorin3Aの合成を誘導することから、HGFの時系列的な巧みな生理作用も明らかになった。
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