2008 Fiscal Year Annual Research Report
人獣共通感染症制御を目指した機能性RNA分子新規デリバリーシステムの開発
Project/Area Number |
20658071
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀本 泰介 The University of Tokyo, 医科学研究所, 准教授 (00222282)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / 獣医学 |
Research Abstract |
最近の機能性RNA分子を用いた核酸医療技術の展開は、これまで不可能、不充分であった感染症の制御を可能にする新しい戦略として期待される。従前、アンチセンスRNA、RNAi、RNAアプタマーなどのRNA分子がウイルス増殖を効果的に抑制するという報告が、培養細胞、実験動物レベルで示されている。本研究では、インフルエンザウイルスのRNAゲノムが細胞核内で効率良く転写・複製される性質に着目し、その分子機構を機能性RNA分子の効果的な発現技術(つまり新しい発現デリバリーシステム)に応用したい。特に、インフルエンザをはじめとする人獣共通感染症の防御、治療法の開発を目差す。 本年度は、研究代表者らが最近確立したインフルエンザウイルス弱増殖型・非増殖型ベクターを、機能性RNA分子発現のために最適化することを検討した。まず、弱増殖型ベクターであるNA遺伝子欠損システムを用い、NA遺伝子にランダム配列を挿入したウイルスをリバースジェネティクスで作出できるかを検討したところ感染性ウイルスがレスキューされた。そこで、野生型ウイルスを重感染させ、その増殖抑制をスクリーニング手段として利用できるかを検討したが、ベクター自体の細胞障害性から明確な結果は得られなかった。今後、非増殖型ベクターの系で検討を進める予定である。 一方、ウイルスプロモーター配列の連結により、ウイルス抑制デコイ効果が生ずるかを検討した。その結果、若干の抑制効果が認められたのみであった。今後、コンストラクトの検討が必要である。
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