2009 Fiscal Year Annual Research Report
人獣共通感染症制御を目指した機能性RNA分子新規デリバリーシステムの開発
Project/Area Number |
20658071
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀本 泰介 The University of Tokyo, 医科学研究所, 准教授 (00222282)
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Keywords | ウイルス / ベクター |
Research Abstract |
最近の機能性RNA分子を用いた核酸医療技術の展開は、これまで不可能、不充分であった感染症の制御を可能にする新しい戦略として期待される。従前、アンチセンスRNA、RNAi、RNAアプタマーなどのRNA分子がウイルス増殖を効果的に抑制するという報告が、培養細胞、実験動物レベルで示されている。本研究では、インフルエンザウイルスのRNAゲノムが細胞核内で効率良く転写・複製される性質に着目し、その分子機構を機能性RNA分子の効果的な発現技術(つまり新しい発現デリバリーシステム)に応用したい。特に、インフルエンザをはじめとする人獣共通感染症の防御、治療法の開発を目差す。 これまでに、研究代表者らが確立したインフルエンザウイルスベクターにより、RNAランダム配列が発現できることを報告したが、重感染によるアッセイ系では、ベクター自体の細胞毒性の影響により、そのウイルス増殖阻害効果の正確な評価が困難であるという問題点が指摘された。そこで、本年度は、ウイルス増殖阻害効果の評価には、挿入したRNA分子の発現効率を高める必要があると考え、ベクターの組成、構築法を再検討した。具体的には、インフルエンザウイルス遺伝子の両末端で構成されるプロモーター領域を重複させるような変異を導入し、GFP遺伝子をモデルとして、その発現効率の変化を測定した。その結果、期待に反して、GFP発現が減少することが判明した。今後、ベクター構築法についてさらなる検討が必要であると考えられる。
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