2008 Fiscal Year Annual Research Report
異常に長い繰り返し配列のDNA上に金属イオンを解して自己集積する分子の開発
Project/Area Number |
20659003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 茂貴 Kyushu University, 大学院・薬学研究院, 教授 (10170672)
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Keywords | 繰り返しDNA配列 / ヘキスト / マイナーグルーブ結合 / 金属錯体 / 協奏的結合 |
Research Abstract |
目的:遺伝子異常のなかで、異常に長い繰り返しDNA配列が関連している疾患が知られており、対応が困難な遺伝子標的として残されている。本研究では、DNA結合部位と金属結合部位を併せ持つリガンドを用いて金属を介して自己集積させることによって、D繰り返しNA配列の認識を目指す。 結果:銅イオンとの錯体形成を介して、繰り返し配列のDNA上に集積することを期待し、分子内に2個のビピリジルユニットを持つビスビピリジル-ヘキストリガンドを設計した。平成21年度には、枝分かれ構造のスペーサーの長さの異なるビスビピリジル-ヘキストリガンド(BBH(L,S))を大再量合成を完成し、これを用いてDNA鎖との結合実験を行った。 リガンドはスペーサーの短いBBH(S)とスペーサーの長いBBH(L)、DNAはDNA2or5(1,3or6)を用いた。DNAのすぐ後の数字はDNAに含まれるA3T3部分の数であり、括弧内の数字はA3T3部分を隔てるGC塩基対の数を表す。 (1)BBH(S)はDNA2(1):BBH(S)=1:2,DNA 2(3):BBH(S)=1:5,DNA2(6):BBH(S)=1:6,という比率の錯体を形成し、自己集積的な結合特性を示すことが明らかになった。 (2)DNAに結合しているBBH(S)に対する銅イオンの結合は、DNA2(1)のとき、BBH(S):Cu=2:1,DNA2(3)のとき、 BBH(S):Cu=2.5:1, DNA2(6)のとき、BBH(S):Cu=3:1,という比率の錯体を形成した。 (3)BBH(L)はDNA2(1):BBH(S)=1:2,DNA2(3):BBH(S)=1:2,DNA2(6):BBH(S)=1:5,という比率の錯体を形成した。BBH(S)に比べるとDNAの結合部位間の距離が比較的長いDNA2(3)に対しても2個のリガンドによる錯体形成が可能であることが明らかになった。 (4)DNAに結合しているBBH(L)に対する銅イオンの結合は、DNA2(1)のとき、BBH(S):Cu=2:1, DNA2(3)のとき、 BBH(S):Cu=2:1, DNA2(6)のとき、BBH(S):Cu=2.5:1,という比率の錯体を形成した。
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