2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20659041
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五十嵐 和彦 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (00250738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 恭丈 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (40397914)
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Keywords | ES細胞 / クロマチン / 細胞記憶 / 転写因子 / メチル化 |
Research Abstract |
メチオニン・アデノシル基転移酵素(MAT)は、S-アデノシルメチオニン(SAM)の生合成に必須の酵素である。合成されたSAMはメチル基転移酵素(MT)の基質として利用され、そのメチル基はDNA中のシトシンやピストンのリジン残基などへ転移され、クロマチンレベルでの細胞記憶を支配する。本研究の主題は、MATに着目してヒストンやDNAのメチル化を包括的に低下させる方法を開拓し、細胞記憶を消去することによりクロマチンと細胞の可塑性を高める技術を開発することにある。20年度は、Hepal細胞(肝臓由来)、MEF(線維芽細胞)、MEL(赤白血病)などの細胞を用いて、MATIIを効率よくノックダウンする系を開発した。これまでに、HepalおよびMEFでノックダウンに成功しているが、ノックダウン後、細胞は徐々に死ぬことも見いだしており、今後、誘導性のノックダウンなど、実験系の調節性を高めていくことが必要と考えている。Hepalでノックダウンすると、ヘテロクロマチン領域のDNAメチル化が数日のうちに失われ、同領域で抑制されているはずの遺伝子群が高発現することを確認した。また、ヒストン全体でメチル化が低下しており、これもヘテロクロマチン領域の脱抑制に関わる可能性がある。次年度に向けてMATIIノックダウンと転写因子遺伝子導入とを同時に行う実験系も立ち上げた。転写因子の組み合わせなどを検討し、ある系列の細胞を全く別系列の細胞へ一挙に分化させるシステムの樹立を目指す
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