2010 Fiscal Year Annual Research Report
関節リウマチと骨粗鬆症の接点をなす分子複合体の機能解析
Project/Area Number |
20659158
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
八木下 尚子 聖マリアンナ医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40367389)
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Keywords | シノビオリン / E3ユビキチンリガーゼ / 基質 / Synovial antige X-2(Sax2) / 遺伝子欠損マウス / 骨粗鬆症 / 破骨細胞 |
Research Abstract |
我々は、関節リウマチ(RA)の原因を解明するために研究を進め、滑膜細胞にちなんだ遺伝子シノビオリンのクローニングに成功した。シノビオリンは、小胞体関連分解で機能するE3ユビキチンリガーゼで、RA滑膜細胞に過剰発現しRAの発症因子となることを示した。さらに、シノビオリンはがん抑制遺伝子であるp53を基質とすること、シノビオリン遺伝子欠損マウスは肝臓でのアポトーシスの亢進により胎生期に致死となること、線維化形成にも深く関与することを明らかとした。 シノビオリンの機能を考える上でp53以外の基質の同定が重要となるため、探索を行った結果Synovial antigen X-2(Sax2)と呼ぶ分子を同定した。Sax2遺伝子欠損マウス(Sax2-/-)は老化現象が加速した表現型を示すことが明らかとなり、その中でも今後の高齢化社会に重大な問題となると考えられる高代謝回転型の骨粗鬆症を呈していることが明らかとなった。 詳細な解析のため、野生型、Sax2-/-より骨髄細胞を採取し、破骨細胞分化能の差を検討した結果、野生型に比べSax2-/-由来骨髄細胞では破骨細胞形成能が上昇していることが明らかとなった。また、マウスマクロファージ由来細胞株RAW264.7細胞が破骨細胞へ分化する条件下でSax2タンパク質を添加した結果、コントロールタンパク質を添加した場合と比較し破骨細胞形成能が減少していることが明らかとなった。 さらに、卵巣摘除による骨粗鬆症モデルを作成し、このマウスにSax2タンパク質を投与した結果、コントロールタンパク質を投与した場合に比べ骨密度の低下が抑制されていることが明らかとなった。 以上の結果から、Sax2は細胞レベル・個体レベルにおいて破骨細胞形成抑制効果を持つことが明らかとなり、Sax2タンパク質が骨粗鬆症治療に有効となる可能性を示すことができた。
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