2008 Fiscal Year Annual Research Report
我国で発見された自然発症脊髄性筋萎縮症マウスの原因遺伝子同定と疾患モデル樹立
Project/Area Number |
20659167
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
松島 芳文 Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center, 臨床腫瘍研究所, 専門研究員 (10094955)
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Keywords | 神経性筋萎縮症 / 疾患モデル / マウス / SMA1 / 自然発症 / SMN / NAIP / ウェルドニッヒ・ホフマン病 |
Research Abstract |
申請者は、日本産野生由来系KOR1マウスとNCマウスとの交配F2に発見した新規2型糖尿病マウスのBALB/c系統へのコンジェック化途上で、重篤な運動ニューロン病の症状を呈する自然突然変異個体を発見した。発症は生後12日前後であり、発症後数日で死亡した。発端マウスの繁殖記録と交配実験の結果から、本変異は常染色体性劣性に遺伝しているが判った。そこで、本変異がヒト疾患のいずれのモデルになるかを探索した結果、脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy:SMA)に酷似していることがわかった。SMAは、発症時期と病態から3型に分類され、そのうち最も重症の急性乳児型脊髄性筋萎縮症:SMA1型、ウェルドニッヒ・ホフマン病に相当すると推定された。SMA1型の発症率は出生2万人に対して1人前後といわれ、有効な治療法もなく2歳前後で死に至る。SMAの原因遺伝子は、SMN:survival motor neuronとNAIP:neuronal apoptosis inhibitory proteinの2つが報告されている。これまでに自然発症SMAモデルマウスの報告は、国内外を含め皆無であり、SMA研究分野では自然発症モデルの出現が渇望されていたと推測される。本年度はヒトSMAの原因遺伝子であるSmnについて、全エクソン部位のDNAシークエンスを行ったが、変異箇所を見出すことが出来なかった。来年度は、Naipについても解析すると同時に新規原因遺伝子発見も視野に入れて研究を進める。また、SMA疾患モデルの樹立に向けて、BALB/c系統への完全コンジェニック化を進めている。なお、本変異マウス発見のきっかけは、日本産野生マウスからの遺伝子導入研究に由来するが、今年度はその経緯を総説にまとめた(Current Pharmaceutical Biotechnology,Y Matsushima 2002)。
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