2008 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的T細胞レセプター解析による口腔癌リンパ節転移機構の解明
Project/Area Number |
20659319
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
濱田 良樹 Tsurumi University, 歯学部, 教授 (70247336)
|
Keywords | 口腔癌 / リンパ節転移 / 腫瘍浸潤リンパ球 / T細胞受容体(TCR) / 腫瘍免疫 |
Research Abstract |
本研究では、口腔扁平上皮癌のリンパ節転移のメカニズムの主体が腫瘍抗原の変化ならびにその免疫逃避機構にあるという仮説に基づいて、口腔扁平上皮癌原発巣とリンパ節転移巣の病変組織に浸潤したT細胞のT cell receptor(TCR)について詳細なレパトア解析を行い、原発巣とリンパ節転移巣との間におけるT細胞を介した免疫反応の相違について検索することを目的とした。 TCRのレパトア解析には、獲得免疫系の主体であるT細胞の全TCR遺伝子を同一条件下で増幅し、生体内の発現頻度を反映させることができるAdaptor-Ligation-PCR法を用いた。現時点では、臨床サンプルの採取とTCRレパトア解析は既に終了しており、原発巣とリンパ節転移巣間で異なるTCR遺伝子を持つT細胞がそれぞれ浸潤していることが確認された。この所見は、腫瘍抗原性の変化に伴う免疫応答の変化が示唆するものと考えられる。また、病理組織学的に転移が認められないリンパ節においても、モノクローナルなT細胞が認められた。これは、微小転移に対する免疫応答を示唆する所見と考えられる。 これらの研究成果は、第53回日本口腔外科学会総会において示説発表を行ったが、将来的に癌免疫療法あるいは化学療法の新しい概念の構築に寄与する可能性があり、臨床的意義は高いと考えられる。今後は、腫瘍抗原に免疫応答している特異的T細胞のシークエンス解析およびサイトカインプロファイルなどを追加検索し、平成21年度中に論文掲載を目指す。
|