Research Abstract |
窒化アルミニウム(AlN)は,6.2eVと広いバンドギャップを有し,また,GaNやAlGaNと格子定数や熱膨張係数が近いため,深紫外発光素子として期待されるAlGaN系LEDの理想的な基板材料として注目されている.このように,高品質単結晶AlKの結晶成長は,工学上重要な研究課題である.本研究では,昨年度から引き続き,以下の2つの研究を行った. (1)熱分解輸送法による単結晶AlNの開発 AlN-Al_2O_3-N_2-CO-C系熱力学的相安定図に基づき,アルミナの熱分解から生じるAl_2Oガス分圧を制御した新たな熱分解輸送法を開発し,AlN単結晶の作製を試みた.アルミナ焼結体上に黒鉛を設置し,窒素気流中で熱分解させた.グラファイトの周囲にAlN単結晶が生成することが分かった. (2)反応性スパッター法によるAlN厚膜の成長 c面サファイアを窒化して得られたc軸配向AlN薄膜をテンプレートにして,反応性スパッター法によってAlN膜を成長させた.ターゲット材料はAl(99.999%)を用い,スパッター出力,窒素分圧,基板温度をパラメータとして,最適条件の探索を行なった.スパッター法により成長したAlN膜は,柱状組織となることが分かった.本研究によって,高品質窒化AlN膜をテンプレートにすると,300℃という低温のスパッター法でも高品質なc軸配向AlN厚膜を得ることができることが分かった.今後,さらに結晶品質を向上させるため,基板温度の高温化を図りたい.
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