2009 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアに対するミオグロビンの相互作用と筋細胞内の効果的な酸素供給システム
Project/Area Number |
20680032
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
増田 和実 Kanazawa University, 人間科学系, 教授 (50323283)
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Keywords | 骨格筋 / ミオグロビン / ヘモグロビン / ミトコンドリア / 臓器灌流 / NIRS |
Research Abstract |
骨格筋の酸素供給機構とその規定因子については不明な点が多い。我々は、骨格筋内の酸素貯蔵体として知られているミオグロビン(Mb)に注目して、Mbに結合した酸素の利用動態を検出するシステムを構築した。実験の結果、Mbに結合した酸素は収縮開始とともに解離し、それに付随して、細胞内の酸素分圧が急進的に低下することが明らかとなった。このことから、細胞内にMbが存在することによって細胞内外の酸素濃度勾配が拡大し、細胞内への酸素流入が促進されるのかもしれない。こうしたMbの振る舞いは、Mbが単なる酸素貯蔵体としてではなく、骨格筋組織の酸素供給機構の一部として機能していることを示唆する。また、こうした筋収縮時に見られるMbの即時的な酸素解離現象が、Mbとミトコンドリアとの密接な関連性に起因すると考えた。そのことを検証するために、ラットからの摘出筋の各画分におけるタンパク解析を行った。その結果、ミトコンドリア画分にもMbが存在した。さらに、ミトコンドリア画分に検出されたMb量は、よりミトコンドリアの多い骨格筋に多く検出される傾向にあった。この生化学的解析は組織化学的観察でも一致した。引き続き、筋組織・培養細胞系にてMbとミトコンドリアの特定タンパクとの相互関係について検討を進める予定である。
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