2008 Fiscal Year Annual Research Report
サル類を用いた内分泌攪乱化学物質の神経発達影響評価系の確立
Project/Area Number |
20681005
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
根岸 隆之 Aoyama Gakuin University, 理工学部, 助教 (80453489)
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Keywords | カニクイザル / ラット / 甲状腺ホルモン / 水酸化PCB / 神経発達 |
Research Abstract |
3年計画の初年である本年度は次年度以降に続く実験系の確立を最優先課題として研究を行った。 1、カニクイザルにおける中枢神経発達 カニクイザル脳組織発達の評価を行うため、胎齢50、80、110、140日、生後30日のカニクイザルの脳組織を各2〜3例、組織学的または生化学的検索に適した形で採取した。現在、組織切片を作成し免疫組織学的手法等により神経発達イベントを解析している。 2、カニクイザル由来神経幹細胞 胎齢80日カニクイザル脳組織より得た細胞を神経幹細胞培養用の特殊な培養液中で培養することにより神経幹細胞から成ると考えられる細胞塊を成長させることに成功した。増殖スピードはげっ歯類のそれよりも著しく遅いが今後、これをさらに増殖させ神経幹細胞であることを分子生物学的に確認するとともに細胞株の安定供給・維持を目指す。 3、ラットにおける甲状腺ホルモン欠乏モデル 来年度はカニクイザルに抗甲状腺薬を投与することによりカニクイザル甲状腺ホルモン欠乏モデルの作成および解析を目指すが、その準備としてラットにおいてポンプによる持続的皮下投与の際の抗甲状腺薬の濃度等の条件を検討した。これは今後投与期間が長くなるサルで行う際に妊娠期の連続多数回経口投与によるストレス性流産をさけるために必要な検討である。 4、水酸化PCBによる甲状腺ホルモン撹乱作用 胎生期ラットに水酸化PCBを曝露し、生後直後の脳における遺伝子発現を評価したところ脳部位特異的に甲状腺ホルモン応答性遺伝子の発現変化が確認された。また、本実験結果より水酸化PCBによるグルタミン酸作動性神経伝達の異常が示唆された。ラット胎齢18日海馬または大脳皮質より得た神経細胞に対し甲状腺ホルモンと同時に水酸化PCBを添加し本物質の甲状腺ホルモン撹乱作用の確認を遺伝子発現変化を指標として評価している。
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