2010 Fiscal Year Annual Research Report
サル類を用いた内分泌撹乱化学物質の神経発達影響評価系の確立
Project/Area Number |
20681005
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
根岸 隆之 青山学院大学, 理工学部, 助教 (80453489)
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Keywords | カニクイザル / ラット / 甲状腺ホルモン / 水酸化PCB / 神経発達 |
Research Abstract |
3年計画の最終年度である本年度は以下のように研究を行った。 1.正常カニクイザルの神経発達イベント 胎齢80、11O、130日、生後30、60、90日、4歳のカニクイザルの前頭葉皮質、帯状皮質、尾状核、海馬、および小脳の神経発達に重要な一連のタンパク質発現をWesternblotting法により評価した。その結果、神経系細胞の分化は出生前にほぼ終了し、興奮性神経伝達系は胎齢後期から、抑制性神経伝達系は出生後急激に発達することを明らかにした。本成果は霊長類の脳発達の分子生物学的情報として広く神経科学分野にとって重要な情報となる。 2.カニクイザルにおける発達期甲状腺ホルモン欠乏の神経発達イベントへの影響 生後3日目から生後60日目まで甲状腺ホルモン合成阻害剤であるメチマゾールを投与したカニクイザルの前頭葉皮質、尾状核、扁桃体、海馬、および小脳の発達を評価した。まず、生後60日においてメチマゾールにより甲状腺の過形成、血漿中甲状腺ホルモンの有意な減少を確認した。ついで項目1と同様に神経発達に重要なタンパク質発現を評価した結果、神経細胞の形態発達に重要な細胞骨格タンパク質であるMAP-2の発現低下、アストロサイトの形態発達に重要なGFAPタンパクの発現上昇傾向が確認された。さらに、抑制性神経伝達物質であるGABAを合成する酵素GAD67およびGABA受容体の部位特異的発現低下が確認された。本成果は世界で初めて霊長類であるカニクイザルにおける化学物質による脳発達の撹乱を分子生物学的に明らかにしたという意味で重要である。
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Research Products
(11 results)