2009 Fiscal Year Annual Research Report
災害対応ナレッジデータベース(KDDM)の構築と自治体防災研修への実践的活用
Project/Area Number |
20681018
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
柄谷 友香 Meijo University, 都市情報学部, 准教授 (80335223)
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Keywords | 減災 / 災害対応 / 治水計画 / 洪水 / 復旧・復興 / リスク・コミュニケーション |
Research Abstract |
2008年7月がら8月にかけて発生した「浅野川氾濫水害」(石川県金沢市)、「平成20年8月末豪雨」(主に愛知県岡崎市)の主要な災害対応者である行政(金沢市,岡崎市)のそれぞれ各部局、社会福祉協議会、自治会長等を対象として、エスノグラフィー調査を実施し、当時の詳細な災害対応経験をビデオ映像、音声及びテープ起こしによる文字情報として記録・整理した。「鹿児島県北部豪雨災害」(鹿児島県さつま町)についても、昨年度に引き続き調査を実施し、上述の災害との比較検討を行った。さらに、上記の各部局が保管している河川改修資料をはじめ、被災度判定調査や避難所運営記録など一次業務記録文書を収集し、紙媒体をPDFデータとして整理した。 その結果、水害からの地域再建には大別して2つのプロセスがあり、地域リーダーがいずれを選択するかによって復旧・復興の進捗が異なることを明らかにした。1つは、地域と行政との協働による自立再建、もう1つは、地域と行政とが対立した訴訟を通じた補償の追及である。まず、過去の水害訴訟事例を整理し、判決動向を見据えた上で、住民にとっての水害訴訟の困難さについて考察した。また、2006年7月鹿児島県北部豪雨災害を対象とし、一部の被災者が河川管理者の瑕疵と責任を追求し、訴訟を求める中、住民と行政の間を調整する地域リーダーの対応が、円滑な地域再建をもたらし、その後の協働川まちづくりに導いたプロセスを明らかにした。こうした地域再建プロセスの違いが、将来の水害に備えた川まちづくりへの展開に影響を及ぼすことから、地域と行政のリスク・コミュニケーションのあり方とその重要性を提起した。
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Research Products
(4 results)