2010 Fiscal Year Annual Research Report
災害対応ナレッジデータベース(KDDM)の構築と自治体防災研修への実践的活用
Project/Area Number |
20681018
|
Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
柄谷 友香 名城大学, 都市情報学部, 准教授 (80335223)
|
Keywords | 減災 / 災害対応 / 自然災害 / 復旧・復興 / リスク・コミュニケーション / データベース / 文化人類学 / 防災研修 |
Research Abstract |
平成22年度においては、災害対応ナレッジデータベース(KDDM)の基礎データとなる「災害対応の教訓と知恵」の収集・整理を継続実施した。具体的には、「平成21年台風第9号災害(佐用町)」、「平成21年中国・九州北部豪雨(防府市)」、「平成22年奄美地方豪雨災害(奄美市)」を対象とし、各自治体の各部局、社会福祉施設、自治会等を対象として、インタビュー調査を実施し、当時の詳細な災害対応経験をビデオ映像、音声及びテープ起こしによる文字情報として記録・整理した。得られた成果および実践的活用は次の通りである。 (1)気候変動に適応した治水政策の提示 気候変動に伴う水害リスクの増大によって、ダム等の既存ストックに頼る治水政策の限界シナリオを提示した上で、新たな治水政策への転換の必要性を示唆した。その上で、応急から復旧・復興までの災害プロセスを記録・共有し、自助・共助・公助の役割を明確にし、新たな治水政策として盛り込むべき具体的な課題を提示した。 (2)水害訴訟回避に向けた行政と住民間のコミュニケーション・ルールの提案 一部の被災者が河川管理者の暇疵と責任を追求し、訴訟を求める中、住民と行政の間を調整する地域リーダーの対応が円滑な地域再建をもたらし、その後の協働川まちづくりに導いたプロセスを明らかにした。こうした地域再建プロセスの違いが、将来の水害に備えた川まちづくりへの展開に影響を及ぼすことから、地域と行政のリスク・コミュニケーションのあり方とその重要性を提起した。 (3)自治体防災研修へのKDDMの実践的活用 KDDMに基づく研修教材を作成し、愛知県豊橋市、名古屋市、国土交通省地方整備局等において、行政職員ならびに河川管理者、関連事業者、住民に対する防災研修を行った。
|
Research Products
(4 results)