2008 Fiscal Year Annual Research Report
ポリペプチド翻訳合成:D体アミノ酸とベータアミノ酸への新展開
Project/Area Number |
20681022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 裕 The University of Tokyo, 先端科学技術研究センター, 助教 (10361669)
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Keywords | D-アミノ酸 / ベータアミノ酸 / 非蛋白質性アミノ酸 / 翻訳 |
Research Abstract |
近年、遺伝暗号をリプログラミングする技術が開発され、20種類の蛋白質性アミノ酸のみでなく、様々な非蛋白質性アミノ酸を翻訳系で使用できるようになった。特に、翻訳系は側鎖に特殊な構造を持つ非蛋白質性アミノ酸に対して寛容性が高く、これらのアミノ酸を導入した蛋白質やペプチドの応用に期待が持たれている。一方で、D体アミノ酸やベータアミノ酸などの主鎖に特殊な構造を持つ非蛋白質性アミノ酸は、翻訳系に受容されないと考えられている。本研究課題では、翻訳系のD体アミノ酸やベータアミノ酸への寛容性を詳しく調べ、これらのアミノ酸を含むペプチドの合成を可能にすることを目的としている。これまでのD体アミノ酸やベータアミノ酸に関する報告では、(1)アミノアシルtRNAの一部がデオキシ型、(2)非蛋白質性アミノ酸の導入にアンバーコドンなど限られたコドンのみを使用、(3)D体のアミノアシルtRNAを加水分解する酵素が混在、などの問題点があった。そこで本年度は、まず(1)の問題点に関して、我々が開発したアシルtRNA合成触媒であるフレキシザイムを使用することで解決を計った。このために、19種類の蛋白質性アミノ酸に対応するD体アミノ酸の活性エステルを合成した。同様にして、10種類のベーターアミノ酸の活性化エステルを合成し、フレキシザイムによるtRNAのアシル化を行った。その結果、D体アミノ酸はtRNAに効率よく連結されたが、ベータアミノ酸は、通常のアシル化の条件では、ほとんどtRNAに連結されなかった。これは、ベータアミノ酸のエステル体は対応するアルファアミノ酸のものに比べて反応性が低いためであると考えられる。そこで反応液のpHを7.5から9.0に上げ、さらに反応時間を延ばすことで、効率的なアシル化を達成した。来年度は、ペプチドへの様々なD体アミノ酸やベータアミノ酸の導入を試みる。
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Research Products
(5 results)