2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本哲学の根本概念について-西田哲学と京都学派の現在
Project/Area Number |
20682002
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
DALISSIER Michel International Research Center for Japanese Studies, 研究部, 外国人研究員 (30468532)
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Keywords | 西田哲学 / 京都学派 / 日本哲学 / 統一 / 無 / イマージュ / 書き込み / 国際交流 |
Research Abstract |
先ず理論的に言えば、本研究は京都学派にまつわる幾つかの根本的概念(西田幾多郎における「無」と「統一」や三木清における「直観」と「構想力」、または下村寅太郎における「プラトニズム」などを対象にしたものである。更にフランス哲学を中心に研究し、且つ京都学派の影響を受けた現代哲学者(坂部恵、長谷正冨)の思想も考慮した。その結果、哲学の最もアクチュアルな問題、つまり有や神や世界などのイマージュの現実という問題を斬新な立場から見直した。それをきっかけに、現象学や分析哲学に比べて、日本哲学(または日本語で哲学するということ)のオリジナリティーが際立ち始めた。 次に本研究は実践的なリサーチとして、日本哲学者の個人文庫蔵書における、日本語、英語、仏語、独語、中国語などで記入された「書き込み」を探求した。一橋大学にある「左右田文庫」や玉川大学にある「高山文庫」、「波多野文庫」を調査した結果、興味深い書き込みが見つかった。尚、このアプローチによって、西田文庫の書き込みの分析を通じ、仏教と西洋哲学という方向から離れ、西田哲学における中国哲学(儒教、道教等)の影響を明らかにすることができた。 本研究を行うため、日本哲学書物(全集、辞書など)を購入した。そして、幾つかの設備備品や消耗品(パソコン、ソフトなど)を購入した。それに加え、英語記事のネイティブチェックのための校正謝金も使用した。 最後に、社会へ発信する場としては、大阪大学にて2008年前学期から"An Introduction to Japanese Philosophy, part1"という授業が始まった。国内(京都、東京、金沢)と海外(ソウル、香港)の会議で発表を行い、また多言語での論文作成を行った。日仏哲学会、京都宗教哲学会、西田哲学会などの学会に参加し、国際交流(ヨーロッパ、韓国、日本、中国)を深めることもできた。
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