2008 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマプロセスの制御によるアモルファス炭素膜の揺らぎのない成膜プロセスの創成
Project/Area Number |
20684027
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
篠原 正典 Nagasaki University, 工学部, 助教 (80346931)
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Keywords | 反応性プラズマ / アモルファス炭素膜 / プラズマプロセス / 赤外分光 / 成長過程 |
Research Abstract |
アモルファス炭素膜は、炭素を主な要素として構成されるアモルファス状の炭素膜である。この膜は、産業界で広く用いられている。しかし、膜中の組成や結合状態がかわれば大きくその性質は変化する。それゆえ、膜がどのように形成されていくのかという成膜メカニズムを理解することが必要である。さらにプラズマプロセスは時々刻々変化するので、アモルファス炭素膜の成膜に伴って、プラズマ自体も変化させなければならない可能性もあり、膜生成の制御法を確立することが望まれている。 本研究では、成膜メカニズムの理解に焦点を当て研究を進めている。本年度は、広く産業界で使われているメタンを原料としてプラズマCVD法によって成長させた際の基板温度による成長過程の変化を調べ詳細に解析を行った。その結果、基板温度上昇とともに、プラズマ中での気相反応に加え、基板表面での表面反応も膜堆積に大きな影響を与えることがわかった。すなわち、基板温度の上昇した場合、プラズマ中の水素ラジカルが膜中のメチル基から水素を引き抜く効果が大きくなる。この影響を受け、膜成長中には原子の結合状態を変化させながら膜の成長が起こることがわかった。この成果は、膜質に揺るぎのない膜を堆積には、膜表面の冷却等により表面反応を抑えることが必要であることを示したもので、成膜技術の革新に与える影響は大きい。次に、産業応用は進んでいるが学術的な研究が遅れているアセチレンを用いた場合のアモルファス炭素の成長メカニズムについて調べた。この場合、基板を加熱しなくても、膜を水素化する表面反応が非常に活発であることがわかった。しかし、基板にバイアスを印加することで、イオンの収集の効果が大きくなるとでこの表面反応を抑制でき、膜厚方向に一定の膜質を持った膜が形成できる知見を得た。この結果は、慣用的に用いられるアセチレンに科学的メスを入れたもので、その意義はたいへん大きい。
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Research Products
(8 results)