2008 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギーテラヘルツ光源を用いた新しい極限物性科学の創成への挑戦
Project/Area Number |
20686005
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
東口 武史 Utsunomiya University, 工学研究科, 助教 (80336289)
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Keywords | テラヘルツ / 極限物性科学 / 軟X線プローブ / 吸収分光 / 極端紫外スペクトル |
Research Abstract |
高強度レーザー生成プラズマベースのコンパクトでサイクル数を制御する高エネルギーテラヘルツ光源を実現し, テラヘルツ光ポンプ-X線光源プローブ法なるオリジナルでユニークな診断技術を開発することを目的としている. この先進診断技術を用いて, 非線形フォノンを伴う極限局所相転移などの非線形固体物性ダイナミクスの観測を世界に先駆けて実現し, 新しい物性科学を創成することを目指している. 数サイクルの高エネルギーテラヘルツ光源の開発と特性実験を行った.(a) あらかじめ媒質中に励起した周期静電場を, (b) 超短パルスレーザーの光電界誘起イオン化フロントにより, 正弦的(周期)静電場を相対論的ドップラー効果により圧縮し, (c) テラヘルツ光に変換し, 自由空間に取り出すという電磁界の圧縮現象を用いている. 中空ファイバーとDARCを組み合わせた装置を開発し, ガス充填DARCがテラヘルツ波を発生することおよび高出力であることを明らかにするための実験を展開した. テラヘルツ光は,既に動作させているサンプリングシステム及びシングルショットシステムを用いて検出している. 具体的には, 中空ファイバー中のイオン化フロントの長尺伝搬の物理およびテラヘルツ波のプラズマ充填中空ファイバー導波路の伝搬特性の研究がテラヘルツ波の高出力化への鍵となると考えている. DARCのテラヘルツ光源としての実証だけでなく,テラヘルツ導波管をも実現しようとその特性も評価した. この光源は, 超短パルス性, 高出力, 波形整形を同時に実現可能な制御性の高い光源であり, 研究内容の豊富さから大きなインパクトがあると考えて, 本年度はテラヘルツ放射を観測した. これらに加えて, コンパクトな軟X線光源を開発し, その放射特性も明らかにした. これらの成果は, 現在論文投稿準備中である.
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