2009 Fiscal Year Annual Research Report
フォトニック結晶とサブバンド間遷移の融合による熱輻射制御の研究
Project/Area Number |
20686007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浅野 卓 Kyoto University, 工学研究科, 准教授 (30332729)
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Keywords | フォトニック結晶 / サブバンド間遷移 / 熱輻射 / 黒体 / ランジュバン方程式 / スペクトル制御 / シングルモード |
Research Abstract |
本研究の自的は電子の遷移スペクトルを制御できるサブバンド間遷移と光子状態を制御できる2次元フォトニック結晶を組み合わせることで所望の波長帯域においてのみ発光する効率的な熱輻射光源を実現することである。本年度はサブバンド間遷移を示す量子井戸を含むウエハーにフォトニック結晶を形成して狭線幅の熱輻射を実現することを目指して研究を行った。 (1) 波長9.7μmのサブバンド間遷移を示すn型AlGaAs(46ML)/GaAs(24ML)量子井戸64層からなるウェハ(基板を含む厚さ650μm)の表面に、格子定数2~16μmの三角格子フォトニック結晶を形成した試料を作製し、試料を90℃に加熱して垂直方向に放射される輻射のスペクトルを測定した。その結果、フォトニックバンド構造の2次と3次のΓ点が重なる領域において強い発光が得られることが分かった。しかし、この構造では基板が厚いためにマルチモードとなり、発光線幅の制御ができなかった。 (2) (1)のウェハの量子井戸部分に2mm角のフォトニック結晶を形成し、その後、フォトニック結晶下部の基板部分をウェットエッチングによって除去することにより、厚さ約1.8μmの薄板フォトニック結晶を作製した。この構造では伝搬モードがシングルモードになる。上と同様に試料を加熱して垂直方向の熱輻射スペクトルを測定したところ、モードが一つしかないことを反映して2次のΓ点に相当する狭い線幅のピークが得られた。その線幅は元々のサブバンド間発光の線幅の半分以下であった。
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