Research Abstract |
本研究で用いる3台の精密熱物性測定装置および付随するその他の校正用機器などについては, 慶應義塾大学から富山県立大学に移設された後, 予定通りに5月下旬には装置の組み上げが完了し, 一方で測定時の安全性と信頼性を確保するための対策および測定マニュアルを整備することができた.その後, 各装置の昇温・昇圧試験を測定予定範囲(温度 : 280K〜600K, 圧力 : 〜200MPa)において実施した結果, 温度測定および制御に不可欠な精密級測温ブリッジ, 昇圧に不可欠な油圧ポンプを含めた各種の要素機器に不具合が多数見つかり, これらの修理・交換を適宜行った上で, 7月上旬には本研究目的の遂行に必要不可欠な計測環境をほぼ再現することができた. その後, 精密測定に不可欠な差圧検定およびベローズ容器内容積検定等を含めた校正実験を, 測定対象温度および圧力範囲について注意深く実施した結果, CO_2/炭化水素系混合流体の測定に必要な信頼性を有する各種の実験校正式の整備も9月下旬には概ね完了した. 続いて, 本測定装置で以前測定を実施し公表されているイソブタン純物質を基準物質とした計測値の信頼性確認実験を, 予定通りに開始した. その結果, 広い温度・圧力範囲におけるPρTx生質および飽和性質に関する計測値を多数得ることができたが, その一方で, 密度測定の要となるベローズ変位計測機器およびサンプル充填系に, 測定不確かさを拡大させる重大な問題が判明した. 現在は, サンプリングに必要となる新しい高性能真空ポンプ, および試料組成の測定不確かさを低減させるためのガスクロマトグラフ等を購入させていただいた上で, 上記の諸問題の解決に全力で取り組んでいる. 今後は, こうした問題点を解決した上で, 従来よりもより高精度な精密測定を, 炭化水素, およびCO_2/炭化水素系混合流体について, 順次精力的に実施していく計画である.
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