Research Abstract |
昨年度後半より,イソブタン純物質を基準物質とした計測値の信頼性確認実験を各装置について精力的に実施し,特に測定が順調に進んだ測定装置1台(高圧気液平衡・PρTx性質測定装置)については,本研究の大きな目的の1つであるCO_2/イソブタンの2成分系混合物を対象とした本測定に移行することができた.その際,従来のサンプル充填では,低温下でも高密度であるCO_2試料がベローズ内に約半分しか充填できない問題が発覚したものの,充填前のサンプルをより低温まで安全に保持することが可能な電動式高圧注入装置等を購入させていただき,安全かつ正確な充填方法の確立が5,月には完了した.その後,温度280K~440K,圧力~200MPaまでの広い範囲において,CO_2/イソブタンの50/50mol%混合系に関する精密測定を実施し,PρTx性質計73点,沸点圧力計3点,および飽和液体密度計3点の実測値を得た.なお,本実測値の拡張不確かさ(k=2)は,温度測定:3mK,圧力測定:15kPa~0.2%,および密度測定:0.09%であった. しかしながら,本格的な測定をさらに進めていくうちに,装置移設後に新たに生じた諸問題が判明した.具体的には,空気恒温槽を採用している2台の測定装置における,ベローズ容器内サンプル中の温度勾配の存在,恒温槽外壁からの大幅な熱の漏洩,およびデジタルマルチメーターへの電気ノイズ等である.さらに,内容積検定に用いる水の純度低下,昇圧用油圧ハンドピストン1台の故障に加え,ベローズ容器1台の破断も発生した.なお,平成21年度中に生じたこれらの諸問題については,本年4月中には概ね解決できており,現在では,各測定装置の最終的な再校正実験を順調に進めている.これらは5月中に全て完了する予定であり,その後,高精度かつ効率的な精密測定を,炭化水素およびCO_2/炭化水素系混合流体について,順次精力的に実施していく計画である.
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