Research Abstract |
昨年度末に発覚した装置の諸問題を解決した後,内容積検定や差圧検定などの再校正実験を,各測定装置について順調に進めた結果,5,月中には全てが完了した.その後,CO_2/ノルマルブタンの2成分混合物を対象として,PρTx性質について,組成25/75,50/50,および75/25mol%,温度280K~440K,圧力~200MPaまでの広い範囲において,計278点の実測値を得た.なお,本実測値の拡張不確かさ(k=2)は,温度測定:3mK,圧力測定:1.5kPa~0.2%,密度測定:0.10%,および組成4.4×10^<-4>であった. さらに,得られた実測値を用いて,世界中で広く用いられている熱物性計算ソフトREFPROP ver. 8.0からの計算値と体系的に比較した結果,今日最も信頼性が高いと考えられる状態方程式からの計算値が,新データよりも最大で8.7%(P=10MPa,T=360K,およびx=0.4794において)低い値を示しており,改良が待たれる状況にあることが判明した.また,本データに基づいて算出した過剰モル体積の組成依存性の傾向が,高温側と低温側とで大きく異なることなどを解明するとともに,混合則モデルを相関した.なお,これらの実測値の一部は,昨年8月につくばで実施された第21回IUPAC化学熱力学国際会議で口頭発表した.また,測定可能な全温度・圧力範囲の実測値を加えて,国際誌に論文発表した. 現在は,引き続きCO_2/イソブタン混合系についての精密測定を順調に進めており,測定が完了し次第,解析結果と併せて論文発表する予定である.さらに,気液平衡状態,600Kまでの超臨界域,および臨界点のごく近傍の範囲をターゲットとした精密測定についても,炭化水素,およびCO_2/炭化水素系混合流体について,順次精力的に実施していく計画である.
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