2010 Fiscal Year Annual Research Report
深掘りMEMSトレンチ受光素子集積化初期視覚プロセッサと動体検出応用
Project/Area Number |
20686024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三田 吉郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (40323472)
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Keywords | MEMS / マイクロ・ナノデバイス / 光物性 / 三次元形状検出 / スマートセンサ情報システム |
Research Abstract |
深掘りナノサイズ構造すなわち、電子デバイスサイズ(1ミクロン以下)のパターン幅でかつマイクロマシンサイズ(40ミクロン以上)の深さを持つ垂直深掘り構造を作製し、機械的な深掘り構造に起因した物理効果によって量的・質的な向上がもたらされる新世代の電気機械デバイスに関する基礎研究を行った。深掘り加工技術としては最小サイズ170ナノメートル、深さ15ミクロンのトレンチ構造を作製することができるようになった。MEMS用サブミクロンサイズの深掘り構造は、これまでせいぜいアスペクト比1:10程度であったが、本研究ではそれより一桁優れた結果を出している。このエッチング技術を基礎に、シリコンの垂直面の表面から不純物拡散を行ってPN接合とした「垂直フォトダイオード」を作製、既存の平面型ダイオードに比較して25%~80%の効率向上ならびにクロストーク軽減ができることを示した研究を進めている。 本研究では、萌芽段階にあるこの深掘りトレンチフォトダーオードを基に、実用的な三次元MEMS電子デバイスプロセスを確立し、動体検出用テストデバイスを試作、車載実験を行うことを目標とする。平成21年度は、トレンチダイオードを利用した物体検出装置の原理検証用テストシステムの作製研究を行うこととした。特に、偏光現象を利用すると、物体の検出、特に同一平面の検出が容易となることが、昨年度の研究を進める中で明らかになってきており、「ナノ構造を利用した機能的光イメージャー」の方向に研究の舵を切る。本研究での強みである、「MEMS技術を利用した電子デバイス」の応用ということであるが、現在までの研究で、トレンチの幅を可視光波長以下としたデバイスを用いると、物理的構造によって光の偏光に敏感な素子として動作することがわかってきた。現在のところ偏光方向の消光比にして1:20といった感度のデバイスを作製することに成功し、特性評価を行った。
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