2009 Fiscal Year Annual Research Report
次世代ジャイアントエレクトロニクス対応メゾプラズマラテラルエピタキシー技術開発
Project/Area Number |
20686049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神原 淳 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授 (80359661)
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Keywords | メゾプラズマ / エピタキシー / シリコン / キャビティリングダウン / 太陽電池 |
Research Abstract |
新たに見いだしたメゾプラズマの特徴を応用して、太陽電池を始めとする次世代ジャイアントエレクトロニクスに特化し最適な新規薄膜化技術、特にガラス等異種基板上でも大型結晶粒から構成されるシリコン薄膜を低温・高速で直接堆積するプロセスの設計を目指す。特に原子状水素生成・その場計測・制御と、ナノクラスター成膜前駆体形成とその結晶成長機構の理解に基づき、粒径大型化の技術指針を得る事を目的としている。 昨年度までに、X線小角散乱その場計測システム(SAXS)により、種々水素分圧メゾプラズマ環境下でもシリコンナノクラスター性状は基本的に2~3nmにモードを有する球形であり粗に結合した構造を維持しうること、高水素分圧下では基板温度にもよるがシリコンのエッチングを促進することなく沿面成長も維持され堆積速度は殆ど変化しないことが確認された。このプラズマ・基板界面相互作用状態を維持して、ガラス基板等異種基板上への堆積を行った。特定のプラズマ条件では、石英ガラス・コーニング基板上でも、ダイレクトに多結晶シリコン薄膜が堆積可能であることを確認した(結晶粒径数ミクロン)。ただし、これらをシード層として多段堆積による横方向エピタキシャル成長(LEO)による光励起層堆積を試みたが、熱的影響のため、シード層が剥離する課題が確認された。石英とシリコンとコーニングガラスの熱膨張係数から検討する限り、膜内の引張・圧縮残留応力よりも、薄膜最表面の過熱が原因と考えられ、ダイレクトp型Siの可能性も含めた、Al等の金属基板上への堆積の必要性が確認された。他方、40°までのプラズマ斜入射堆積(oblique堆積)による結晶粒の粗大化への効果は限定的であることが判明した。しかし、特定のプラズマ条件では(220)優先成長が強く確認され、薄膜面内小傾角粒界によるキャリア再結合低減に貢献する可能性が見いだされたことから、熱的影響を抑制しつつ高配向薄膜を堆積するために、15kW程度のプラズマ環境の利点が見出された。また、基板最表面の温度に影響を与えうる、原子状水素の再結合過程を理解するために、アーベル変換を用いた高精度空間原子状水素のプラズマ分光計測を行った。また平行して高精度絶対値その場定量が可能となるキャビティリングダウンシステム(CRDs)の組上げを完了した。これを踏まえ、次年度は、成長表面形態との定量評価値との相関を明らかにし、シード層剥離抑止と薄膜結晶粒制御の指針提示に必要であることを確認した。
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