2009 Fiscal Year Annual Research Report
エンドサイトーシスにおける小胞形成機構の構造的基盤
Project/Area Number |
20687006
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
嶋田 睦 The Institute of Physical and Chemical Research, 生命系放射光利用システム開発ユニット, 研究員 (70391977)
|
Keywords | X線結晶解析 / エンドサイトーシス / 脂質膜 |
Research Abstract |
真核細胞が外部から細胞内に物質を取り込む代表的な仕組みの一つであるエンドサイトーシスは、細胞表層受容体の内在化や体細胞における栄養摂取などの基本生命現象において重要な役割を果たしている。エンドサイトーシス過程の進行には、複数の可溶性タンパク質が関与しているが、その機能発現機構の詳細には不明な点も多い。本研究は、エンドサイトーシス関連タンパク質の立体構造解析および構造に基づいた機能解析を行うことで、エンドサイトーシスにおけるダイナミックな小胞形成機構の一端を解明することを目的とする。 本年度は、エンドサイトーシス関連タンパク質であるpacsin2/Syndapin IIの高分解能結晶の作製および構造決定に成功し、pacsin2/Syndapin IIによる膜陥入および膜突起形成機構の構造的基盤を解明した。この結果は、FEBS Lettersに掲載が決定している。また、エンドサイトーシスの小胞形成過程における膜陥入とアクチン重合に関与するタンパク質であるFBP17のHR1ドメインとCdc42の複合体の立体構造を決定し、既に決定していたCIP4のHR1ドメインとCdc42の複合体の構造との詳細な比較を行った。また、CIP4およびFBP17のHR1ドメインとCdc42の結合定数も等温滴定カロリメトリーを用いて決定した。さらに変異体解析により、これらのタンパク質による特異的なCdc42認識機構を解明した。以上の結果と細胞生物学的解析の結果から、Cdc42、 CIP4、 FBP17のクラスリン依存性エンドサイトーシスにおける機能発現モデルを構築し、現在論文を準備している。また、エンドサイトーシスにおいて働くイノシトールリン脂質脱リン酸化酵素であるsynaptojanin 1とsynaptojanin 2のSACドメインを含むフラグメントについて、発現条件の検討や別コンストラクトの作製等を行った。しかし、結晶化に十分な量のタンパク質試料の可溶性画分への大量発現にはまだ成功していない。
|