2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物ウイルスに対する防御ネットワークに関わる宿主遺伝子の解析
Project/Area Number |
20688002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中原 健二 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 助教 (90315606)
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Keywords | 植物ウイルス / RNAサイレンシング / 生体防御 / 感染生理 |
Research Abstract |
タバコのカルモジュリン様タンパク質rgs-CaMがウイルスセンサーとして多くのウイルスがコードするRNAサイレンシング抑制タンパク質RSSと相互作用すること、そして宿主植物の抵抗性機構を活性化してウイルス病耐病性を高めることを検証してメカニズムを解明するのが本研究の目的である。当初、rgs-CaMはポティウイルスのRSS、HC-Proタンパク質に結合する宿主植物のRSSと報告された。そこで、そのRSS活性について検証したところ、アグロバクテリウムなどを用いた一過発現系で誘導されるサイレンシングを抑制しなかった。一方、HC-Proと直接に結合することは大腸菌で発現精製したタンパク質を生体分子間相互作用解析装置(BIACORE)で解析して確かめた。この時、キュウリモザイクウイルス(CMV)のRSS、2bタンパク質とも結合することを見出した。さらに、in vivoでもこの結合が見られるかFlag標識したrgs-CaMタンパク質を発現するジャガイモXウイルスベクター(flag-rgs-CaM-PVX)とCMVを重複感染させたタバコで調べてみた。その結果、Flagに対する抗体を用いた免疫沈降法により、rgs-CaMと2bタンパクは植物細胞中でも結合していることが示唆された。この時、rgs-CaMの過剰発現によりCMVの接種葉での蓄積、上葉への移行が抑制されることが分かった。さらに解析を進めるためにrgs-CaMの強発現および発現抑制した形質転換タバコを作製したところ、強発現個体の一部でえそ斑様の細胞死が観察された。このえそ斑はflag-rgs-CaM-PVXを接種した葉でも観察されたことから、rgs-CaMの過剰発現で細胞死を伴うウイルス抵抗性機構が活性化される可能性が考えられ、今後はこの点を中心に形質転換体などを用いた解析を行っていく予定である。
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Research Products
(6 results)