2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物ウイルスに対する防御ネットワークに関わる宿主遺伝子の解析
Project/Area Number |
20688002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中原 健二 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (90315606)
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Keywords | 植物ウイルス / RNAサイレンシング / 生体防御 / 感染生理 |
Research Abstract |
rgs-CaMが結合したRSSタンパクのRNAサイレンシング抑制能に影響を及ぼしているのか検討した。一過的にrgs-CaMを過剰発現もしくはRNAサイレンシングにより発現抑制したNicotiana benthamianaプロトプラストで、ルシフェラーゼを指標にRSSのRNAサイレンシング活性を定量的に測定したところ、rgs-CaMを過剰発現した場合には影響が見られなかったが、内生のrgs-CaMの発現を抑制した場合に、RSSタンパク(HC-Proと2b)のRNAサイレンシング抑制活性が上昇した。従って、rgs-CaMは結合したRSSタンパクのRNAサイレンシング抑制能をある程度、抑制していることが明らかになった。次にrgs-CaMの下流で働く宿主因子に関しては、植物の防御反応の指標となる病原関連(PR)タンパクの発現をノーザンブロット解析により調べたところ、rgs-CaMを過剰発現する形質転換タバコでPR1aやPR2などがウイルス感染やRSSの有無に関係なく発現誘導されていることが分かった。さらにマイクロアレイでの解析をやり直したところ、多くのPRタンパク、抗菌性タンパク、防御関連遺伝子などがrgs-CaM過剰発現タバコで誘導されていた。これらの結果からrgs-CaMは侵入したウイルスRSSに結合して、その活性を阻害してウイルスに対する基礎防御であるRNAサイレンシングの活性を高めると共にそれ以外の防御機構も活性化してウイルスに対抗している可能性が考えられた。さらにFlagタグを付したrgs-CaMをPVXウィルスベクターにより感染タバコで発現し、Flag抗体を用いて免疫沈降したところ、意外にもPVXベクターの外皮タンパクが共沈澱してきた。これは、rgs-CaMがウイルスのRSSタンパクばかりでなく外皮タンパクにも結合する可能性を示唆しており、今後、この部分にも注目して解析を進めていくつもりである。
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Research Products
(5 results)