2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20689016
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
近藤 茂忠 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (40304513)
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Keywords | 機能性RNA / 悪性腫瘍 / VEGF / ノンコーディングRNA |
Research Abstract |
申請者はこれまで、腫瘍血管新生因子VEGF遺伝子のエクソン1領域に、蛋白質をコードしないRNA(以下VEGFノンコーディングRNA)が内蔵されていること、このVEGFノンコーディングRNAが「癌促進性RNA」として機能することを明らかにしてきた。本研究では、VEGFノンコーディングRNAによる腫瘍抑制遺伝子群のサイレンシング機構を解明することを目的とし、以下の研究成果を得た。 (1) VEGFノンコーディングRNAによる腫瘍抑制遺伝子p53およびSTAT1の発現抑制に、マイクロRNA遺伝子サイレンシングシステムが関与しているかを検討するために、Drosha蛋白質のノックダウンおよびDicer遺伝子を破壊したがん細胞株を用いて検討した。その結果、VEGFノンコーディングRNAによる腫瘍抑制遺伝子サイレンシングは、マイクロRNA遺伝子サイレンシングシステムとは全く異なることを明らかにした。現在、VEGFノンコーディングRNAと特異的に相互作用する蛋白質因子の同定を進めている。 (2) VEGFノンコーディングRNAの発現調節機構について検討するために、各VEGFノンコーディングRNAの上流領域をクローニングし、プロモーター解析を行った。その結果、VEGFノンコーディングRNAに特異的なプロモーター活性が、VEGFプロモーターとは独立して、VEGF遺伝子のエクソン1に存在することを明らかにした。 以上の結果から、VEGF遺伝子領域には「腫瘍促進性のノンコーディングRNA」が独立してコードされており、新規のサイレンシング機構を介して、がん細胞の悪性形質化、さらには癌幹細胞化に重要な役割を果たしている可能性が考えられた。
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Research Products
(8 results)