2011 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞の浸潤と転移における、新規Dishevelled関連蛋白GCF2の機能解析
Project/Area Number |
20689025
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大塚 英郎 東北大学, 病院, 助教 (50451563)
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Keywords | 癌 / シグナル伝達 / 外科 |
Research Abstract |
前年度までの研究成果により、GCF2の発現が大腸癌の肝転移形成深く関与している可能性が示唆された。また、GCF2のFibronectin-integrin signal系への関与について機能解析を行い、Fibronectinを刺激とした移動・浸潤能を制御していることが明らかとなった。以上よりGCF2がIntegrin signal pathwayで働き、細胞の外基質への接着能を制御することで、癌細胞の転移形成に関与することが示唆された。(これらの研究成果は現在英文誌に投稿中である。)また、本年度は、癌細胞の上皮間葉移行におけるGCF2の関与についてさまざまな興味深い知見を得ることができた。膵臓癌癌細胞Panc1、および大腸癌癌細胞HT29をTGFβで刺激を行うと、上皮系マーカーの発現低下と間葉系マーカーの発現上昇が見られるが、その際、GCF2遺伝子の発現が上昇することが示された。これらの変化はsmadに変異を認める癌細胞では認められないことから、smad依存的なTGFβの経路にGCF2が関与すると考えられた。EMTは癌細胞が移動・浸潤能を獲得し、その転移形成能に深く関与するメカニズムである。転移形成に深く関与するGCF2の発現が、癌細胞がEMTを起こす際に発現増加する現象はきわめて興味深い。現在、これらの知見をより詳細に検討している。また、血管内皮細胞と癌細胞との接着の際にGCF2がどのような機能を有するかを探るため、現在HUVECと癌細胞との共培養系を作成樹立し検討を行っている。
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