2008 Fiscal Year Annual Research Report
APC/Cユビキチンリガーゼの活性を阻害するEmi1の過剰発現と癌化との関連
Project/Area Number |
20689033
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
工藤 保誠 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50314753)
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Keywords | Emi1 / 頭頸部扁平上皮癌 / ユビキチン / APC / C / 細胞分裂 |
Research Abstract |
癌において、細胞周期チェックポイントの異常や細胞分裂の異常は、分化や細胞増殖の異常の引き金になると考えられており、なかでも細胞分裂制御のキー分子として機能しているタンパク質の多くが、APC/C複合体により、ユビキチン分解されることが知られている。これらタンパクは、癌細胞でしばしば過剰発現していることから、APC/Cによる分解制御異常が、その過剰発現に関与するのではないかと考えた。さらに、我々の予備実験では、APC/Cの活性を抑制するEmi1が癌細胞株で強い発現を示していることから、Emi1の過剰発現により、APC/Cの活性を抑制し、基質タンパクの過剰発現を引き起こすことによって、異常な増殖や分裂異常を介して、癌化に関与するのではないかと考えた。実際に、Emi1は、頭頸部癌症例で、高頻度に過剰発現しており、癌細胞株においても、高い発現を示していた。通常、Emi1は、細胞分裂期初期において、APC/Cが活性化する際に、ユビキチン分解されるが、癌細胞株においても、高い発現を示すにもかかわらず、細胞分裂期での発現は、みられない細胞がほとんどであった。しかし、一つの細胞は、細胞周期を通じて、Emi1が発現しており、その細胞では、APC/Cの基質タンパクの過剰発現がみられた。さらに、Emi1の恒常的な発現が、ERK-RSK経路によるリン酸化がユビキチン分解を阻害することも見出した。現在、そのリン酸化部位の詳細と、リン酸化異常が及ぼすEmi1の恒常的な発現が、APC/Cの基質タンパクの過剰発現をひきおこすかやその癌化への影響について検討中である。
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Research Products
(3 results)