2009 Fiscal Year Annual Research Report
実社会に即した安定マッチング問題の定式化とその解法研究
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20700009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮崎 修一 Kyoto University, 学術情報メディアセンター, 准教授 (00303884)
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Keywords | 安定マッチング問題 / 安定結婚問題 / 多項式時間アルゴリズム / NP困難問題 / 最適化 / 近似アルゴリズム / 整数計画問題 / 線形計画問題 |
Research Abstract |
本研究の目的は、安定マッチング問題を応用に応じた様々な局面へ拡張して定式化し直し、効率のよいアルゴリズム開発や計算量解析を行うものである。交付申請書に記載の研究実施計画では、本年度は(1)同順位と不完全リストを許す問題、(2)病院/研修医問題への定員枠の採用を主に行う予定であった。 (2)については、今年度は目立った進展がなかった。 (1)の「同順位と不完全リストを許す問題」に関しては、これまでの最良の近似度が1.5であったのを、片側に同順位を許すことにより1.47に改良できるという見通しを示した。これまで使われた組み合わせ的なアルゴリズムでは限界があり、先行研究には1.5より改良はできないだろうという予想もあった。本研究では整数計画問題に定式化し、それを線形計画問題に緩和し、その最適解を組み合わせ的なアルゴリズムのヒントにするという新しい手法を用いた。改良の度合いはわずかながら、本成果は新しい手法を提案し、また、上記の予想の反例を示したことになり、本問題の今後の改良の可能性を示唆したことになり、大きな意義があると言える。 また、同順位を許さない安定マッチング問題に対して、最大サイズでより安定なマッチングを求めるという最適化問題が、先行研究により提案されていた。希望リストの長さが2の場合は多項式時間で解け、3以上の場合はNP困難になる、また、長さが制限されていない場合は近似困難になるということが知られていた。従って、長さが定数の場合に近似可能か否かが未解決となっていた。本研究において、長さが3以上であれば近似困難という結果を示した。これにより、希望リストの長さをパラメータとした場合に対し、この問題に対して決着を付けたことになる。
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