Research Abstract |
多変数展開基底法(Iwami)と拡張ヘンゼル構成(Sasaki-Kako, Sasaki-Inaba)は, 標数Oの場合を想定して提案されたが, それらを標数pの場合でも実行できるように, 各ステップの演算をひとつひとつチェックし, 標数pで破綻する部分を, 標数pで実行可能な演算に修正あるいは置き換えることで, 暗号分野への応用を試みた. 具体的には, 代数曲面公開鍵暗号(Akiyama-Goto)に対する攻撃手法として, グレブナー基底のテクニックを利用する方法(Iwami)があるが, かわりに, 標数pでの多変数展開基底法や拡張ヘンゼル構成の展開テクニックを利用して, 代数曲面の零点にあたるピューズー級数根を計算して暗号文である多項式に代入するという利用方法が挙げられる. 今後, さまざまな暗号への利用可能性について, 調査・実験・検証を引き続き行う. 2008年版代数曲面公開鍵暗号において, 暗号化ステップで使用するランダムな3つの3変数多項式と公開鍵の間にある条件が成立するとき, 攻撃者は平文を求めることができることを指摘し, 暗号化ステップで, その条件を満たさないようにランダム多項式を選ぶことで, その脆弱性を克服することができることを説明した. また, 次年度の準備として, 多次多変数公開鍵暗号やHFE(Hidden Field Equations)に基づく公開鍵暗号, 各種安全性強化手法について, 調査を行った. 次年度は, さらに幅広く調査を続けながら, 計算機代数分野の各種アルゴリズムを適した形に改良し, 攻撃法の提案を目指す.
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