Research Abstract |
平成21年度は,以下の2項目について検討した. 1.平成20年度に検討した高性能なバイオメトリクス認証アルゴリズムの安全性を向上させるために,画像をフーリエ変換したときに得られる位相情報を利用し,秘匿性を有する登録データの生成手法を検討した.画像の位相情報は,一見すると乱数のように一様に分布しているため,そのままでは何を表しているか読み取ることができない.ただし,逆フーリエ変換することで,元の画像の輪郭が現れてしまう問題があるため,位相情報をそのまま登録するのではなく,認証に有効な複数の局所ブロックの位相を抽出し,さらに値(位相)を量子化することで,元の画像に戻すことができないデータを生成する手法を検討した.また,位相情報を登録データとすることで,安全性を向上させるだけではなく,適切な量子化レベルに設定することで,認証性能を低下させることなく登録データの容量も削減できることを性能評価実験により実証した. 2.バイオメトリクス認証の一例として掌紋認証に着目し,性能評価に用いられている標準的なデータベース(PolyU Palmprint Database)やカメラを用いて撮影した掌紋画像データベースを用いて,平成20年度および平成21年度に検討した認証アルゴリズムの性能を評価した.認証性能や処理速度だけではなく,登録データの秘匿性やデータ容量などについても評価した.また,顔などを用いたバイオメトリクス認証においても提案する認証アルゴリズムが有効に活用できるかを検討した.
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