2010 Fiscal Year Annual Research Report
行動実験と計算モデリングによるカテゴリー学習における人間の認知情報処理の解明
Project/Area Number |
20700235
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松香 敏彦 千葉大学, 文学部, 准教授 (30466693)
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Keywords | 認知モデル / 認知心理学 / 概念形成 / 学習・思考 |
Research Abstract |
1.行動実験 20年度開発したInformation Boardと呼ばれるコンピューターインターフェイスを用いて、前年度に引き続きカテゴリー学習時および適用・汎化時の選択的注意データを記録する行動実験を行った。前年度で得られた、獲得された概念が引き起こす認知行動は多様的であるといった知見を追実験で再度検証した。特に、多様な知識を得ることに認知的コストがかかる場合や、意図的に1つの行動に心理的報酬を与えるといった場合においても、獲得された概念が引き起こす認知行動は多様的であるといった結果が得られ、この現象が強固なものであることを示した。 2.モデリング研究 20、21年度に提案した確率的最適化法を用いた認知モデルをさらに発展させ、先行研究で示された複種類の内部表象変化を再現すること可能にした。また、当モデルと他のモデルの予測を定量的・定性的に比較し、その記述的妥当性を示した。 前年度までは教師あり学習課題を想定してモデル・シミュレーションをおこなってきたが、22年度はコミュニケーションを介した教師無し学習をモデル化し、シミュレーションをおこなった。その結果、一般的な人間社会のネットワークと言われている、small world networkの構造をもつ社会がより複雑なネットワーク構造もつ社会やより簡素の構造をもつ社会より、多様性のある「十分正しい」知識を獲得・保持する傾向があることが分かった。また、個人の認知的制約(正しく記憶できる情報量の限界)は、社会全体においては、むしろ情報の「正確度」を高めるといった、シミュレーション結果が得られた。
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Research Products
(9 results)