2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700248
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
佐藤 暢哉 Kwansei Gakuin University, 文学部, 准教授 (70465269)
|
Keywords | 空間認知 / ナビゲーション / 認知地図 / ラット / 放射状迷路 |
Research Abstract |
本年度は,ラットを対象に「いつ」「どこ」「なに」という記憶情報が必要なエピソード記憶課題を学習させた。具体的には,8方向の放射状迷路のそれぞれの経路 (アーム) の先端部にエサ (ペレット) を置き,ラットにそのエサを集めさせる課題を学習させた。この際,アームの一つには特別なエサ (チョコレートペレット) を置いておき,別の一つのアームには食べることのできないビーズを置いておいた。ラットにはすべてのアームの先端部に行きエサを集めさせ,ここまでを第1フェーズとした。そして,2分間の遅延期間の後に,第2フェーズとして,もう一度迷路内のエサを集めさせた。第2フェーズでのチョコレートペレットを置くアームの位置は,ラットが第1フェーズにおいてチョコレートペレットを得たタイミングによって変えた。つまり,ラットは第1フェーズのいっ,どこで,なにを得たのかというエピソードについて覚えておく必要があった。この課題の訓練を108試行おこなわせたところ,ラットは第2フェーズでチョコレートペレットが置かれたアームに相対的に早く到達する行動を示し,第1フェーズにおけるエピソードを記憶していることが示唆された。今後は,脳梁膨大後部皮質の破壊が課題遂行に与える影響の検討をおこない,さらに,課題遂行時のニューロン活動を記録・解析することを通して,「いつ」「どこ」「なに」というエピソード記憶に関わる脳領域とその処理メカニズムを明らかにする予定である。
|