2008 Fiscal Year Annual Research Report
レンチウイルスベクターによる視床-大脳新皮質相互結合の定量的解析
Project/Area Number |
20700315
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
日置 寛之 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (00402850)
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Keywords | レンチウイルス / 中枢神経系 / 神経細胞 / 局所神経回路 / 定量的解析 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は、逆行性経シナプストレーサー(Tetanus Toxin C fragment, TTC)もしくは順行性経シナプストレーサー(Wheat germ agglutinin, WGA)を発現する新規ウイルスベクターを開発し、その後成体ラットを用いて視床・大脳新皮質局所神経回路の定量的解析を目指すものである。本研究で用いるレンチウイルスはHIV-1由来であるが、長期発現が可能であるという利点はあるものの、目的遺伝子の発現量が他のウイルスベクターよりも弱いという欠点があった。そこで、神経細胞特異的かつ高発現を可能にするレンチウイルスの開発を進めた。神経細胞特異的プロモーター(SYNプロモーターなど)の制御下でGFPを発現させた場合、ウイルス注入から一週間程度ではGFPの蛍光輝度は非常に弱く、GFPの発現を検出するには免疫染色法が必須となる。そこで、SYNプロモーター下でテトラサイクリン調節性トランス活性化因子(tTA : Tet-Off)を神経細胞特異的に発現するウイルス、Tet応答性プロモーター下でGFPを発現するウイルスを二重感染させるシステムを開発した(Double Lentiviral Vector Tet-Off Platform)。神経細胞特異的に発現したtTAはTREプロモーターを活性化し、その結果GFPの蛍光輝度は40倍程度まで増大した。8週間に渡ってGFPの発現を観察したが、神経細胞特異性に変化はなく、また細胞傷害性も認められなかった。よって本研究課題のように、目的遺伝子(TTCやWGA)の強発現を必要とする実験系には、有用なツールであると言えよう。今後は新たに開発した当システムを用い、本研究計画を進めて行く予定である。
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