2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700346
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
辛島 彰洋 Tohoku University, 大学院・情報科学研究科, 助教 (40374988)
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Keywords | 扁桃体 / 海馬 / θ波 / レム睡眠 / 同期 / 情動記憶 |
Research Abstract |
本研究は、「脳幹ネットワークが海馬・扁桃体θ波を同時に発生させ2つのθ波を同期させる」、「海馬-扁桃体θ波の同期は記憶の獲得や固定、想起に重要な役割を果たしている」という2つの仮説の検証を目的としている。海馬ならびに扁桃体θ波生成機構およびθ波の機能を明らかにしようとする本研究は、海馬および扁桃体が関与する情動記憶機構の解明につながると期待される。 本年は、まず海馬・扁桃体θ波を無麻酔下で同時計測し、2つのθ波の時間関係を調べた。その結果、レム睡眠期に海馬ならびに扁桃体両部位においてθ波が発生していること、2つのθ波が高い確率で同期していることを見出した。この同期現象は、レム睡眠期に行われていると考えられている記憶の想起や固定に重要な役割を果たしている可能性がある。さらに、2つのθ波を同期させるメカニズムを明らかにするために、海馬と扁桃体両方に直接の興奮性投射をしている橋の青斑下核を破壊し、レム睡眠期のθ波への影響を調べた。破壊により、両部位のθ波の周波数が減少すること、θ波間の同期性が弱まることを見出した。以上の結果は、海馬-扁桃体θ波の同期性を脳幹のニューロンが制御している可能性を示している。 最近、レム睡眠期において青斑下核を刺激もしくは破壊すると、記憶の固定が活性化もしくは阻害されることが報告されている。どのように青斑下核が記憶機能を調節しているのか不明であったが、本研究の成果から、青斑下核のニューロンが海馬と扁桃体の周期活動を同期させることで記憶機能を高めているという描像を導くことができる。
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Research Products
(15 results)