2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700346
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
辛島 彰洋 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教 (40374988)
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Keywords | 海馬θ波 / レム睡眠 / 記憶・学習 / ストレス / 逃避学習 |
Research Abstract |
本研究は、「脳幹ネットワークが海馬・扁桃体θ波を同時に発生させ2つのθ波を同期させる」、「海馬-扁桃体θ波の同期は記憶の獲得や固定、想起に重要な役割を果たしている」という2つの仮説の検証を目的とした研究である。 過去の2年間では、海馬・扁桃体θ波を無麻酔下において同時計測し、2つのθ波の時間関係を調べてきた。レム睡眠期に海馬ならびに扁桃体両部位でθ波が発生すること、さらに、この2つのθ波が高い確率で同期していることを見出した。また、2つのθ波を同期させるメカニズムを明らかにするために、海馬と扁桃体両方に直接および間接的な興奮性投射をしている橋の青斑下核を破壊し、両θ波への影響を調べた。その結果、破壊によって両部位のθ波の周波数が減少することや、θ波間の同期性が弱まることを見出した。以上の結果は、本年度(2010年5月)発行のJournal of Neurophysiology誌に掲載された。さらに本年は、(1)ニューロン活動レベルで海馬や扁桃体θ活動に同期性があるかどうか明らかにするために、海馬や扁桃体にシリコン製のテトロード電極を刺入しニューロン活動を計測する実験、(2)学習・記憶におけるθ波の同期性の役割を直接的に明らかにすることを目指し動物を用いた逃避実験、をそれぞれ行った。また、(2)に関連して、動物の行動を定量化するため、動物の頭部に小型の加速度計を設置し、逃避行動やfreezing(恐怖の記憶を想起している時などストレスが強い時に出現する行動)を簡便に検知するアルゴリズムを確立した。
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Research Products
(14 results)