2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロクロマチンプロテイン1γ変異マウスが不妊症を呈する分子メカニズムの解析
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20700363
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
成瀬 智恵 Kanazawa University, 学際科学実験センター, 助教 (30372486)
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Keywords | HP1 / マウス / 減数分裂 / ヒストン修飾 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
HP1はα, β, γの3つのファミリー分子からなり、HP1γはユークロマチン領域のメチル化ヒストンに結合して部分的にヘテロクロマチン化を誘導し、エピジェネティックに遺伝子発現を抑制する因子であることが知られている。我々が作製したHP1γの変異マウスの生殖細胞の発生は、レプトテン期からザイゴテン期への移行に遅延が見られ、パキテン期の生殖細胞数が著しく減少していること、また、HP1γ変異マウスの精母細胞ではヒストン修飾の状態が野生型と異なることがわかっていたので、今年度は、ヒストン修飾の状態変化が生殖細胞形成に及ぼすメカニズムを明らかにすることを目的として研究を行った。その結果、減数分裂の開始時期にセントロメア近傍領域の集積が認められないこと、及び、精原細胞におけるヒストンメチル化酵素がHP1γ変異マウスの精母細胞では集積できないことがわかり、これらのことから、HP1γはセントロメア近傍におけるヒストン修飾因子のリクルートに必須であり、減数分裂の正常な進行にはセントロメアの集積が必要であることが明らかになった。さらに、HP1γ変異生殖細胞は始原生殖細胞(PGC)の時期から数が減少していたので、HPγ変異生殖細胞の発生や細胞周期について調べたところ、細胞周期に異常が認められ、さらにチェックポイントを司るタンパクの集積が認められたので、HP1γがPGCの増殖の制御に関わることが示された。
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