2010 Fiscal Year Annual Research Report
コアンダジェット制御を利用した多目的外科切開器具の提案と開発
Project/Area Number |
20700383
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
小松 真 岩手医科大学, 共通教育センター, 講師 (40347886)
|
Keywords | 生物・生体工学 / 可視化 / 流体 / 医工学 / 水中放電 / 誘電体 / ウォータージェット |
Research Abstract |
電極間距離と導入する水を微調整することで、放電電極間の誘電率を変化させ、放電の安定化に成功した。これにより比較的高い制御性と広い調整レンジの放電ジェット駆動源を作成できた。付加的な成果だが、この技術は今後切開器具に直接生かせると考える。これにより運動量などと、切開性能が反対の変化傾向になるのは電極の不安定性によることが分かったため、これらをもとに改良した模擬切開装置を試作し、その切開性能の調査を行った。結果として、ストレートノズルで1パルスあたり5N以上の荷重を数mm^2の面積に加え、数MPaの圧力を実現できる切開装置が作成可能となった。また本装置は構造特性上最大出力となる水量があり、そこを基準に微調整して威力を変えられる。また本方法ではジェット発生と切開での温度上昇はほとんど認められなかった。その後φ6円柱硬組織(10%W/Vポリアクリルアミドゲル:ヤング率約43kPa)とそれを囲む軟組織(6%W/V同ゲル:ヤング率約8kPa)の2層血管含有模擬組織を作成し、本ジェットを作用させ模擬切開を行い、高速度撮影で切開過程を計測した。予備実験にて、最大威力では硬組織ゲルを数発で約10mm切開できる程度であることを調べた後可視化した。前述最大威力ではφ6円柱硬組織を貫通することもあったが、その発生数は予備実験より想定された数より明らかに低く、ジェットの直進貫入性能も約20%低減した。これは切開時のエネルギーが軟組織切開に消費されたためと予想する。このエネルギーの分散には、研究目的の通りコアンダ効果の寄与が多分に予想されたため、上記ゲル表面を傾け切開試験を行ったところ、ある傾き以上になると、コアンダ効果により表面に沿ったジェットの進展成分が生じ、穿孔できなくなる現象が観察された。その閾値はジェットの法線方向に対し20-45degの領域にあると考えられ、それ以上の接線角度となる部位に切開は期待できないと予想する。
|
Research Products
(4 results)