2008 Fiscal Year Annual Research Report
生体内実働負荷波形を用いた骨の疲労特性評価-疲労骨折発生機序の解明-
Project/Area Number |
20700387
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
山本 衛 Kinki University, 生物理工学部, 准教授 (00309270)
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Keywords | バイオメカニクス / 骨 / 疲労 / 実働負荷 / 生物・生体工学 |
Research Abstract |
骨に作用する力学的負荷の様式や作用時間は, 負荷後に生じる微小損傷の状態や力学的強度の低下と深く関係しているものと推察される. しかし, 力学的負荷と微小損傷との定量的関係は十分に解明されていないのが現状である。この関係を明らかにすることは, 骨のリモデリングのメカニズムの解明につながるだけでなく, 骨の脆弱化の程度を予測することで, 骨損傷の診断や予防手法の改良に大きく貢献すると考えられる. 特に, 骨折を直接的には引き起こさないレベルの負荷を作用させた後に生じる微小損傷の経時的変化は, それまでに骨が曝されてきた力学的環境の下で, どのくらいの骨損傷が生じているのかを示している. 従って, 負荷後の微小損傷を定量的に評価することは, 骨強度の低下に及ぼす力学的負荷の影響を明らかにするために必要な情報を提供するものと推測される. 本研究では, 繰り返し圧縮負荷を作用させた円柱型皮質骨試料に蛍光染色を実施した後, 試料に発生した微小損傷を蛍光顕微鏡を用いて観察した. 染色には複数の蛍光色素を使用し, 継続的に作用させた負荷下で変化していく微小き裂を観察することで, き裂進展の状態を定量的に評価した. これにより, 繰り返し負荷下での微小損傷発生メカニズムの解明に結びつく基礎的知見を得ることを試みた. その結果, 負荷の各段階に対応する染色液で染め分けられた微小き裂を定量的に評価することで, き裂が進展していく状況を明らかにすること可能であった. 特に, 繰り返し負荷を作用させた試料(Cyclic load群)で発生する微小き裂は, 同じレベルの負荷を単一で負荷した試料(Monotonic load群)よりもやや長くなる傾向がみられた. また, 生体負荷波形データの蓄積と実働負荷波形試験機の改良・設計を同時に実施してきており, 今後は実働負荷波形を再現した疲労試験において発生する骨損傷を解析する予定である.
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