2008 Fiscal Year Annual Research Report
股関節疾患患者における歩行能力の改善に向けた体幹-下肢筋協調性の解析
Project/Area Number |
20700424
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
建内 宏重 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (60432316)
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Keywords | 歩行分析 / 股関節 / 人工股関節置換術 / 骨盤・体幹 / 動作解析 / 変形性股関節症 |
Research Abstract |
本研究では、人工股関節全置換術後の患者を対象として、股-膝-足関節の協調性を解析した。 股関節疾患患者では、股関節機能の低下を補うために足関節の作用が強まっているという報告がある。また、足関節と股関節は歩行時に相補的な作用をしていると考えられるため、我々は、足関節の歩行時の作用(プッシュオフ)を抑制することによって、間接的に股関節の機能発揮を促すことができるのではないかと仮説を立てた。研究では、プッシュオフを抑制した歩行エクササイズが歩行時の股関節機能に与える影響を分析した。患者群をランダムに2群に分類し、一方にはプッシュオフを弱めた歩行エクササイズを、他方にはプッシュオフを強めたエクササイズを実施し、その即時効果を観察した。その結果、プッシュオフを弱めた群において、練習後の股関節伸展角度、屈曲モーメント・パワーの増加を認めた。また、プッシュオフを強めたエクササイズを実施した群では、股関節の屈曲角度や屈曲モーメント・パワーの減少を認めた。本研究は、股関節疾患患者で過剰になっているとされる足部の作用を弱めることによって、相対的に股関節機能を高めることができる可能性を示している。また、股関節の疼痛や筋力低下を代償するためには、プッシュオフを強めることも一方法として考えられる。本研究は、長期間にわたって歩行障害が継続するといわれている人工関節術後患者における歩行練習のあり方に重要な示唆を与えるものである。
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